序幕

むかぁしむかし・・・・


紋章(クレスト)というアリがちな伝説の力を秘めたアイテムがありました

・・と、あまりにもアリがちな話だったため皆は「空想の産物」としてその伝説自体を本当におとぎ話のように扱っていました。

そういうワケで、今ではそれを知る者は南の王国、セルムラント・・・その中でも一握りの住人だけとなっていました


その一人である私が、こうして今回皆様に「おとぎ話」を聞かせて差し上げようと思いまして・・


ご用とお急ぎでない方は是非、聞いていってくださいませ


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序幕・・「FIRST STORY -さいしょのおはなし-」

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・・我ら七大陸の民の先祖である「一つの島」の民は平和に暮らしておりました

今でこそ七つの大陸となりましたが、かつては陸続きの大きな一つの島・・大陸であったのです。


国々は争いもなく、理想的な国家体制の元にゆったりと時を過ごしておりました

しかし、ある時を境にそれは一変してしまいました


「魔物」と後に呼称されるようになった異形の者達が突然・・何の前触れもなく現れて、人々を襲うようになったのです


逃げまどう人々に対しひたすらに殺戮を繰り返す、無慈悲な魔物達・・

魔物を従えていたのは「魔王」と呼ばれる・・名の通りの魔物の王

彼は人の言葉を話し、全ての国を・・人を滅ぼすために来たと言います


何のためにそのような事をしていたのか当時は理解できませんでした

・・もちろん、数世紀過ぎた現在でもそのような理由はわからないままですが・・


魔物に蹂躙されていた人々も反撃を試み・・敗北を繰り返しても、決してあきらめようとはしませんでした

ある時・・冒頭でお話しました「クレスト」を手に、たった数人の騎士団が魔物の巣となった北の地に赴き、魔王を倒したのです

・・しかし魔王を倒した騎士団は疲弊、残党の魔物達の手によって全滅してしまいました


騎士団の持っていたクレストの行方は不明でしたが、その威光は人々への最後の一押しになりました

散り散りになった魔物を倒し、ついに世界は平和を取り戻したのです


ところが魔王は北端の要塞に最後の力を残しており、北の地から大津波が押し寄せ・・

現在に至るワケでございます。

数世紀の間何事もなく進んだのですが、残念ながら最近の若い者はクレストも騎士団も「おとぎ話」と信じ込んでおります


現に、今世界は再び現れた魔物の驚異にさらされているというのに・・


今でこそ小さな被害で済んでおりますが、我がセルムラント王国もいつ陥落するやら・・


しかし我が国には王が「かつての騎士団」への願いを込めて結成した組織が存在します


若き勇敢なる騎士団長「レインストック=ヴァリー」率いる王立騎士団

古参の法術士「サイブラス=ランティス」

美しき救護士「ユーリィ=ファーネット」


国内より集められた有能なる彼らは、きっと魔物からこの国を護ってくれるでしょう・・


ところで、大変な問題が二つほどあるのですが・・


一つに、本騎士団は「本日」結成されたばかりであるという事・・・

二つに、本騎士団の構成員は・・・彼らを含めてたった30人であるという事です。


・・前言撤回しましょうか(汗)

国の財政も手伝ってか、小国の騎士団などこの程度の戦力でしかないのです

あと何年生きられるのかわかりませんが、もしあの騎士団がまた現れるような事があれば・・いや、是非現れていただきたく思います


救国の勇者、そういった理想にすがる他ないのです・・我々のような普通の民は。

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